診療のご案内
膠原病かどうか検査をしたが、結果の意味 がわからない・・・。一番良い方法は、直接、聞いていただくことですが、忘れた場合なども考え、ここに記しました。
わかりやすくするために多少、厳密さにかける表現を取らざるを得ない点は、お許しください。(改訂は、定期的にしていきたいと思っておりますので、分かりにくい点、見にくい点、追加すべき項目などありましたら、お教えください。)
通常は、ウイルスや細菌などの外敵に対して、抵抗する免疫力が、様々な原因で、自分自身を攻撃してしまうのが膠原病です。このため、色々な臓器が障害されてしまいます。そのなかで検出されるものが、自分の成分に反応して攻撃を加えてしまう抗体(自己抗体)です。
膠原病を調べる場合には、必須の検査項目です。
細胞の中の核に反応するもの(抗体)があると、この検査で、染色されてきます。核の成分は色々あるため、これに反応する抗体も色々な種類があります。
この検査は、これらの色々な種類をまとめて表したものです。膠原病は、症状と検査結果をもとに、診断されますので、この検査が陽性だからといって、即、膠原病というわけではありません。この検査が陽性の場合、考えうる病気は、全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病、全身性硬化症(強皮症のこと)、シェーグレン症候群など。
全身性エリテマトーデスに対して、特定されうる抗体です。全身性エリテマトーデスのなかで腎臓が障害されるタイプと密接な関係があります。
病気の勢いがあると、この値も上昇します。全身性エリテマトーデスの約70%に陽性となります。
主に混合性結合組織病の診断に必要な抗体ですが、混合性結合組織病以外でも陽性になりますで、注意が必要です。
全身性エリテマトーデスであったSmithさんから見つかった抗体であり、抗Sm抗体という名がつきました。この抗体が陽性であれば、ほぼ全身性エリテマトーデスと言ってもよいのですが、検出率は30%と低いのが難点です。
抗Sm抗体は、全身性エリテマトーデスのなかでも、数年たってから蛋白尿がでてきたり、中枢神経が障害されるタイプと関連します。
SSとはシェーグレン症候群の略です。この抗体はシェーグレン症候群の標識となるべくして開発されました。
抗SS-A抗体は、シェーグレン症候群の約80%に陽性となりますが、他に全身性エリテマトーデスや全身性硬化症でも約60%は陽性になります。
一方、抗SS-B抗体は、シェーグレン症候群に特異的ではありますが、検出率は落ち、約30%に陽性となる程度です。
多発性筋炎や皮膚筋炎で特異的にみられる抗体です。これも、Joさんの血清から見つけられた経緯から名前がついたユニークな抗体です。肺線維症を伴う多発性筋炎の方に検出されやすい抗体です。
強皮症の方の約30%に検出される抗体です。
皮膚硬化の範囲が広く、肺線維症を合併するタイプの強皮症に陽性となることが多いです。
限局型強皮症のうちのクレスト症候群(皮下石灰化、レイノー現象、食道が拡張し動きが悪くなる、指の皮膚が硬くなる、毛細血管拡張の5つの症状の英語の頭文字をとってCREST症候群)で60~90%に陽性となります。
他に、レイノー病、原発性胆汁性肝硬変という病気でも検出されます。
関節リウマチの方であれば約80%に検出されますが、実は、リウマチ因子という名前がつけられていますが、加齢、肝臓病、そして感染症でも陽性となることがあります。
仮にリウマチ以外で陽性となっても、数値はリウマチの方に比べ低いという特徴があります。
注意すべき点は、リウマチになったばかりでは、その陽性となる割合は、約50%足らずということです。
関節リウマチの方では、糖鎖のガラクトースというものが欠損した異常な免疫グロブリンIgGの割合が高いということより、この抗体は関節リウマチになったばかりでも検出されうる特異度の高い抗体です。
関節リウマチの発症する少し前から陽性になるとされる抗体で、まず、この抗体が陽性であれば数年後に関節リウマチになる可能性が高いです。
しかし、数%は関節リウマチ以外の場合でも、陽性になります。