診療のご案内
花粉症は近代になって急激に増加の一途を辿っています。
日本人のおよそ約3割が花粉症に悩んでいるという調査結果もあり、16歳未満の子供の発症率は深刻なものになりつつあります。
花粉症が増えた理由はいくつか挙げられますが、「花粉の飛散量の増加」「住環境の変化」「食生活の変化」「免疫力の低下」が主な原因と言われています。
花粉症全体のおよそ7割はスギ花粉症だといわれています。
日本におけるスギ林の面積が大きく、全国の森林の18%を占めているためです。
花粉症とは、「季節性アレルギー性鼻炎」「季節性アレルギー性結膜炎」などと呼ばれ、スギやヒノキなどの植物の花粉が原因となって、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状がでる、アレルギー性鼻炎の一種です。
当院では、花粉飛散情報の収集とともに、花粉が飛散しだす頃からの治療を行っております。「花粉症かな?」と思ったら、一度ご相談ください。
晴れや曇りの日、最高気温の高い日、湿度の低い日、雨の日の翌日、風が強く北風に変化したときのような気象状況が花粉の飛散量が増えるとされています。
また、1日の中で最も花粉の飛散量が多い時間帯は13時~15時頃と言われています。
しかし、風の強い日などは、昼に飛散した花粉が風によって夜に再び舞うこともあります。
また花粉が完成するのは10月中旬です。この時期はその年のスギの成長の度合いなどによって前後します。
そして暖かくなり雄花が開花し、花粉が飛散を始めます。
花粉症の主な症状として「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」、「目のかゆみ」「涙が出る」「充血」が挙げられます。
また、症状の出始める時期はその人それぞれによって違います。花粉が飛び始めるとすぐに症状が出る人もいれば、飛び始めてしばらくしないと症状の出ない人もいます。
同様に症状の重さもそれぞれ違います。その年の飛散量によっても変わります。
その中でも「目」の症状で悩む人は年々増えています。花粉によって起こる目のアレルギーを「季節性アレルギー性結膜炎(花粉性結膜炎)」と呼びます。
この症状は男性より女性に多く見られ、中でも男性は10代、女性は10代~40代に多く見られます。しかし、最近では低年齢層や高年齢層でも花粉症に悩む方が増えてきています。
また、花粉症の症状は目や鼻だけでなく、頭痛や発熱、味覚障害や食欲低下、全身倦怠感など、様々な症状が全身にみられます。
気管支喘息などのアレルギー疾患がある場合、症状が悪化してしまうこともあります。
花粉症の症状として、つらいものが「目のかゆみ」です。
花粉が、眼や鼻、口などから入ってくると、花粉という異物を取り除くためにリンパ球が抗体を作ります。
再度、花粉が体内に入ると肥満細胞(結膜や鼻粘膜にある、アレルギー反応を起こす細胞)からヒスタミンなどのメディエーター(化学伝達物質)がでて、目がかゆくなります。
このメディエーターが出されると、「目のかゆみ」や「充血」「鼻水」などの様々なアレルギー症状が起こります。
花粉症は悪化してから治療を始めても、薬は効きづらく、なかなか症状は改善されません。
そこで、花粉が飛散する2週間程度前から、薬物療法を始める初期治療を推奨しています。この初期治療をすることによって、症状を軽くしたり、発症時期を遅らせたり、期間を短くすることができます。
また、薬の使用を少なくできるなどという多くのメリットがあります。早めに専門医を受診することをお奨めいたします。
花粉症の治療は急に強い症状が出ることもあるので注意しながら治療を行います。治療法は対処療法と根治療法、免疫療法があります。
対処療法とはその名の通り症状を抑えるための治療法です。
体内で増加しているアレルギーの細胞を抑え、症状の原因となる化学伝達物質がアレルギー細胞から放出されるのを制限したり、神経や血管に作用するのをブロックします。
薬のこういった作用により花粉症の症状を抑えるのです。
花粉症の原因である「花粉」を100%避けること、花粉を除去することは不可能です。 なので、身体に花粉が入らないようにしたり、花粉抗原に対する免疫を作る治療法です。
症状の重い方には抗原特異的免疫療法(減感作療法)とよばれる、花粉の抽出液を少しずつ濃度を上げながら体内に注射して、免疫を作り上げる治療法が有効です。
この治療法は花粉の季節の3か月以上前から始め、治療期間は2年以上です。最初は注射の頻度も1週間に1度と必要ですが、5か月には1か月に1回になりますので、通院頻度はあまり高くありません。
花粉症はセルフケアをきちんとすることによって、症状を軽くすることができます。
花粉症の方で、生で果物を食べられたときに口の中がかゆくなったり、のどがイガイガしたりするという経験をされた方はおられると思います。これは口腔アレルギー症候群と呼ばれる疾患です。
原因は、反応をしめす花粉に含まれるタンパク質が、同じように果物にも含まれているからです。
代表的なものを表にまとめましたのでご参照ください。
花粉の種類 | 共通する原因となる タンパク質 | 症状を出しうる 果物や野菜 |
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カバノキ科 (シラカンバ、ハンノキ) | PR-10 | バラ科 (リンゴ、西洋ナシ、サクランボ、モモ、スモモ、アンズ、アーモンド)豆乳 |
キク科 (ブタクサ) イネ科 (カモガヤ、ハルガヤ) | プロフィリン | ウリ科 (メロン、スイカ) |