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2020.08.14
浦安・新浦安・行徳・葛西・船橋のリウマチ科
便秘
便秘について、しっかりと習った記憶がない。学ぶべき多くのことがある大学病院での忙しい日常診療の中で、便秘が着目されることは残念ながら少なかった。
実際は、便秘で困っている方がいないはずもなく内科医であれば、自ら処方した治療薬の副作用で便秘にしてしまうこともある。
こうした中で、便秘については自分で学ばざるを得ずセンナばかり服用していると大腸が真っ黒となる「大腸メラノーシス」という病態があることを知った。
早いとセンナ服用4ヶ月で、大腸は真っ黒です。約20年前の話で、懐かしいものである。
便秘について他の大学は、どう考えているのかと調べてみると、「残念ながらわが国では便秘診療に関する教育はほとんど行われてきていないのが実情である。現在でも成書では便秘は疾患ではなく症候として記載されている場合が多く、その病態生理や診断、治療の解説は少ない。」(1)とあって、ほっとし、なるほどなとも思った。
「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」を「便秘」と言います。つまり、病名でなく状態を表しております。
「便秘症」とは,便秘による症状が現れ,検査や治療を必要とする状態を言います。
症状として、
①排便回数減少による腹痛や腹部膨満感
②硬便によるもの排便困難や過度のいきみ
③便排出障害による排便困難、過度の怒責、そして残便感とそのための頻回便
があります。
2017年10月に、「慢性便秘症診療ガイドライン2017」が発行されガイドラインに基づいて診療を行うことが可能となりました。
大腸管腔内に流入する胆汁酸の量を増加させることで、大腸管腔内に水分および電解質を分泌させ消化管運動を亢進させる排便させるという新しい便秘症治療薬も発売され、また、アメリカなどでは主流であるポリエチレングリコールやラクツロースも便秘で使用できるようになり、これから便秘症は、より良く治療することが可能となりました。
(1)日本大腸肛門病会誌 72:583-599,2019