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2021.12.10
内科
不眠症に抑肝散(54番)が役立つ|漢方|内科|浦安せきぐちクリニック
不眠症(急速眼球運動睡眠行動障害)に抑肝散が役立つという論文を見たときは、へぇーという感じでした漢方といえば、誰もがなんとなくツムラを思い浮かべるかもしれませんが、クラシエもあります。30年も前の話ではありますが、私の大学(本院)のリウマチ・膠原病内科は、漢方薬を関節リウマチの治療薬として用いておりました。今とは違い関節リウマチには良い薬がなく、仕方がなかったのかもしれませんが、医学部5年のときのリウマチ膠原病科の実習の際は驚きました。大学の講座に漢方がないのに臨床になると漢方薬を処方、それも有効性が乏しいものを処方するのは、何故と思ったことを鮮烈に覚えております。ただ、本院の大学病院には東洋医学科という外来がありました(今でもあります)が、私の勤務していた川越の病院は幸いありませんでしたので、西洋医学を堪能できました。もちろん、漢方薬を卑下するわけではありませんが、系統的な教育を受けていないのに無責任に処方ができないということです。しかし、ついに、無責任なときがやってきました。大体はアルバイト先の病院などでしたが、「今まで何々先生からもらっていたから漢方薬の何番を処方して」や「ツムラの54番の処方をして」という魔の番号による処方依頼という洗礼を受けました。54番と言われると、せっせと病院にある薬の本で調べて、含まれている成分を見て、大丈夫かなと不安の思いをしながら処方するわけです。今回の話題は、抑肝散のため、抑肝散ならば「54番」です。「肝」が高ぶると、イライラしたり、怒りが出ると東洋医学では考えるそうです。抑肝散は、肝の高ぶりを抑えることから名づけられた漢方薬です。子どもの夜泣き、疳の虫に使われていた薬でしたが、今では、神経症、不眠症、歯ぎしり、更年期障害、血の道症(女性ホルモンの変動に伴って現れる体と心の症状)、子どもの夜泣き、かんしゃくなどに使われております。
文責:浦安せきぐちクリニック(内科・リウマチ内科・皮膚科・泌尿器科)院長 関口直哉
参考文献:psychogeriatrics 2020; 20: 681-690