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2022.01.02
リウマチ内科
アクテムラ®︎(トシリズマブ)を新型コロナウイルス感染に伴う肺炎治療薬として承認申請(2)
COVID-19感染者の血管から出て血液凝固を促進させる分子のPAI-1の値は、細菌性敗血症または重症熱傷に匹敵するほどの高さです。このPAI-1が、肺をはじめ多くの臓器で血栓を作らせ血管から液性成分を漏出させ炎症の重症化につながることがわかりました。新型コロナウイルスに感染したとき、IL-6が上昇する早期にアクテムラ®︎を使用すれば、つまりはPAI-1の産生が抑えられ、結果として血栓が作られずと重症化が予防できるのではと期待されています。関節リウマチの場合は、IL-6は、60くらいで200 pg/mlを超えることはあまりないのですが、感染症のときは、IL-6が、1000 pg/ml以上になるので、これを抑えることは理に叶っております。アクテムラ®︎は、人工呼吸器などを必要とする重症者の回復を早め、死亡の危険度を下げる効果も認められ欧州で承認、米国やガーナでも緊急使用許可を得ています。世界保健機関(WHO)も使用を推奨をしています。純国産の薬剤が、世界に羽ばたき多くの方の福音となっております。
文責:浦安せきぐちクリニック(内科・リウマチ内科・皮膚科・泌尿器科)院長 関口直哉
参考文献: