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2015.02.26
内科
人喰いバクテリア
「人食いバクテリア」
なんて恐ろしいネーミングなんでしょう。
昨年の罹患者数273人、致死率30~50%、とは怖いものです。
どんな感じかというと、突然発症し急激に手足の壊死などが進み、時に人の命を奪う「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」のことです。
近年、増加傾向にあり国立感染症研究所によると、昨年は1999年の調査開始以降最も多い273人に達した。
今年も2月15日までで68人に上る。
主な原因菌は、A群溶血性レンサ球菌です。
これは特別な細菌ではない。
溶血性レンサ球菌は扁桃炎やとびひ、皮膚炎などを起こすが、通常は抗菌薬が良く効きます。
のどなどに保菌している子どももいるくらいです。
しかし傷口などから細菌が体に入ると、まれに劇症化することがあり初期症状は手足の痛みや腫れ、発熱など。
恐るべきことに病気の進行が極めて速い。細菌が急激に増殖し、通常は細菌のいない筋肉や筋膜を壊死させたり、血流に乗って全身に回って多臓器不全などを引き起こしたりする。発症して数十時間以内にショック状態で死亡することもあり死亡率は30~50%に達する。
厄介なのは、抗菌薬の効果が菌の増殖スピードに追いつかない場合もあることだ。
なぜ劇症化するかは解明されていない。
A群溶血性レンサ球菌の中でも、ある特定の遺伝子を持った型が劇症化を起こす場合が圧倒的に多いことが分かっている。
通常、体内に入った病原体は免疫細胞によって排除されるが、この型の菌は特別な物質を産生して免疫細胞を攻撃している可能性が考えられるという。
罹患者に発症しやすさに関わる因子がある可能性もあるが、はっきりしたことは何も分かっていない。
手足の傷や水虫にかかっている場所から感染しやすい。