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2014.07.13
関節リウマチ
関節リウマチに使用される生物学的製剤の命名法
生物学的製剤の一般名の命名法に一定の法則があります。羅列します。
語尾“マブ(mab)”・・・単クローン抗体
語尾“キシマブ(ximab)”・・・キメラ型単クローン抗体
TNF-αと結合する可変領域がマウス由来であるが、その他の定常領域をヒト由来の免疫グロブリンに置換したもの。キメラ型は薬効を妨げる中和抗体を惹起し易いという弱点がある。
例:インフリキシマブ(レミケード®)
関節リウマチに対する生物学的製剤の中で最も歴史のある薬剤。抗体のTNFに対する結合部分が一部マウス由来の成分で構成されており、その部分に対する抗体(中和抗体)が出現し効果が減弱するのを防ぐために、メトトレキサート(MTX)を併用する必要があります。TNF阻害薬のなかでは唯一の点滴製剤であり効果の発現は人にもよるが数日以内と早い特長がある。もし効果不十分であれば投与量の増量もしくは投与間隔の短縮することで効果が得られる。
語尾“ズマブ(zumab)”・・・ヒト化モノクローナル抗体
可変領域のうち相補性決定領域(complementarity-determining region:CDR)がマウス由来で、その他のフレームワーク領域(framework region:FR)をヒト由来としたもので、免疫原性(中和抗体を産生させる能力)はキメラ抗体よりもさらに低減する。
例:トシリズマブ(アクテムラ®)
本邦発のヒト化抗IL-6受容体モノクローナル抗体製剤。IL-6はTNFと同じく関節リウマチの炎症に関与するサイトカインの一つで、関節リウマチの病態のなかでも重要な役割を演じていることが知られています。トシリズマブはIL-6の受容体を阻害する作用があり、多くの臨床研究で関節リウマチに対する有効性が示されています。また、海外で実施された臨床研究(ADACTA試験)では、MTXを併用しなかった場合の直接比較でアクテムラがヒュミラよりも有効性が優れていることが示されましたGabay C et al. Lancet. 2013; 381: 1541-50
例:セルトリズマブ(シムジア®)
PEG化 抗ヒトTNFα抗体
Fc領域を有さないため胎盤通過に関与するFcRn受容体の影響を受けず胎盤通過が極めて少ないことが報告されている。
Toxicol Sci.2011;2011:122:170
語尾“ムマブ(mumab)”・・・完全ヒト型単クローン抗体
ヒト抗体遺伝子を導入したトランスジェニックマウスを用いて、完全なヒト型抗体の産生が試みられている。
例:アダリムマブ(ヒュミラ®)
ヒト型抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体で、関節リウマチと乾癬の治療に用いられる。
例:ゴリムマブ(シンポニー®)
抗ヒトTNFα抗体で、関節リウマチの治療に用いられる
語尾“セプト(cept)”・・・リガンドの受容体にヒトIgGのFc部分を結合したもので、Fc部分を結合することで生体内での半減期が延長される。
例:エタネルセプト(エンブレル®)
例:アバタセプト(オレンシア®)
CTLA-4 分子の細胞外ドメインとヒト免疫グロブリンIgG1 のFc 領域からなる可溶性融合蛋白で、抗原提示細胞表面のCD80/86 に結合することで、CD28 によるT細胞の活性化を阻害し抗リウマチ効果を示すT 細胞選択的共刺激調節剤である。完全ヒト抗CTLA-4抗体製剤。T細胞の活性化を抑制するCTLA-4に結合し、CTLA-4とリガンドのCD80やCD86の相互作用を遮断する。