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2022.07.18
皮膚科
掌蹠膿疱症
掌蹠膿疱症に、ある女優さんがなり話題になったのですが、掌蹠膿疱症は乾癬と同様、とてもありふれた疾患です。かつての治療は、今もなお処方されているビオチン、外用薬、そして扁桃腺や歯の詰め物が原因の一つと考えられ摘出されたりと色々なことがされておりました。しばらくすると自然に治るのですが、その病態が解明されるにつれ治療の体系化がされるようになってきました。掌蹠膿疱症は、乾癬と同様に、関節炎を伴いますが好発部位が違います。乾癬では、末梢性関節炎と言って指先の変化が多いのに対して掌蹠膿疱症は、前胸壁に多いという特徴があります。これを掌蹠膿疱症性骨関節炎(pustulotic arthro-osteitis:PAO)と呼びますが、その頻度は10〜30%です。この病態をみるとSynovitis-Acne-Pustulosis-Hyperostosis-Osteitis (SAPHO)症候群と皮膚科以外では診断されることが多く、これがまた混乱に拍車をかけ厄介になります。実は、SAPHO症候群と診断された80%は、この掌蹠膿疱症性骨関節炎(PAO)だったという報告があります。
文責:浦安せきぐちクリニック(内科・リウマチ内科・皮膚科・泌尿器科)院長 関口直哉